教員紹介

中山 能力(なかやま ちから)

主な研究テーマ

log 幾何及び関連分野について研究している。主な研究テーマは次の通りである。
(1) log エタール・コホモロジー。二種の log エタール・コホモロジーの双方について,固有底変換定理やポアンカレ双対定理等の基礎的な諸定理を証明した。
(2) log ホッジ理論とその幾何的応用。log リーマン・ヒルベルト対応の関手性を証明した(K. Kato 氏,L. Illusie 氏と共同)。混合ホッジ構造のモジュライ空間の部分コンパクト化を構成した(K. Kato 氏,S. Usui 氏と共同)。群作用のある場合について研究中である。log rankが 1 以下の base 上の幾何的な log ホッジ構造を構成した(T. Fujisawa 氏と共同)。log ネロン模型について研究し,曲面上の log ネロン模型を構成した。
(3) 相対的トーリック多様体の位相的研究。相対的トーリック多様体の real blow up の位相的な性質についての基本的な結果を証明した(A. Ogus 氏と共同)。
(4) log アーベル多様体論。アーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を,log アーベル多様体のモジュライ空間として構成する問題を研究している(T. Kajiwara 氏,K. Kato 氏と共同)。係数環付きの場合について研究中である。
(5) log 概型間の射の strictness の特徴づけについて基本的な結果を得た(Y. Hoshi 氏と共同)。

講義およびゼミナールの指導方針

微分積分と線形代数とは,大学の数学の基礎にあたるので,受講者のほぼ全員が標準的な水準の理解に到達できることを目指している。まず具体例から入り,理論的なことを述べたあと,再び具体例を解説する。問題を解く時間を設け,試問,発表等,受講者の参加を重視する。レポートや試験等により受講者の理解度を把握し,進度を調整する。学部後期の講義では,専門的な事項よりも,いろいろな分野と関連のある基礎的な事項を選択的に講義する。数学的な厳密さを保ち,丁寧に解説する一方で,具体的な例を多く与え,直観的な概念の把握を促す。大学院の講義では,数学の専門的な事柄にも触れる。その部分は概説となるが,具体例で説明する等,理論の要点が掴めるように配慮する。

ゼミナールでは数学および周辺分野について学習する。まず最初に参加者と相談し,時間をかけて,標準的かつそれぞれの参加者の学習履歴に適したテキストを選択する。それを読み,参加者が交替で発表を行なう。参加者全員が曖昧な点を残さず理解できるように,随時,議論する。標準的なテキストをある程度独力で読みこなせるようになったら,さらに進んだ文献に進む。その後,研究テーマを相談して決め,研究指導を行なう。

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