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研究成果発表

Michael Kosfeld, Akira Okada, and Arno Riedl, “Institution Formation in Public Goods Games,” forthcoming in American Economic Review

研究の背景

「市場の失敗」によって市場メカニズムが機能しないとき、効率的な資源配分を実現するために適切な制度を設計することは、経済理論および経済政策にとって重要な研究課題である。公共財の供給や共有資源の保全管理、環境保護などの社会的ジレンマと呼ばれている経済状況は、「市場の失敗」の典型的な例である。このような状況では、個人的な価値の追求と社会厚生の最大化は相反する。社会的ジレンマ状況では、社会厚生の最大化から逸脱する個人の非協力行動を処罰するためのインセンティヴ制度の設計が現実社会で数多くみられる。インセンティヴ制度の設計は外部から強制的に導入されるものでなく、当事者が自発的に合意するものである。制度構築がいかに実現可能であるかを理論的に解明し、実験データによって理論予測を検証することが求められている。

研究成果

公共財供給ゲームにおける個人の非協力行動を阻止するインセンティヴ制度の自発的形成のゲーム理論モデルを構築し、制度構築が実現可能な組織は一定の最小サイズをもつことを証明した。組織の最小サイズは、公共財の便益と組織コストによって定まる。部分ゲーム完全均衡を精緻化するゲーム均衡解では、組織サイズは最小サイズと一致する。インセンティヴ制度の組織が形成されるとき、組織の非参加員は制度にただ乗りし参加メンバーより高い利得を得るため、組織の参加メンバーと非参加員の間で新たな利害対立が生ずる。そのため、最近の行動経済学で標準的な社会性選好のモデルを用いてさらに理論モデルを分析し、社会性選好の下では個人の不公平性回避性向のため、制度構築の組織は利己的選好の場合より大きくなり、一定の条件では全員組織が形成されることを示した。

理論予測を検証するため、アムステルダム大学実験経済学センター(CREED)で制度構築のゲーム実験を実施した。実験には、164名の大学生が参加した。実験の各セッションでは、4人制度形成ゲームを組織の最小サイズが2人のケース(IF40)と3人のケース(IF65)でそれぞれ20回プレイした。さらに、制度形成のない公共財供給4人ゲーム(囚人ジレンマゲーム)の実験(PG40とPG65)も実施し、制度形成が社会厚生の最大化に有効であるかどうかを調べた。Figure 1Figure 2は、それぞれ組織の最小サイズが2人のケース(IF40, PG40)での組織の相対頻度と平均貢献度を示している。

実験データによると、制度の自発的形成は可能であるが、制度に非参加者がただ乗りをする場合の実現頻度は低く、多くの場合で全員参加による制度構築が実現する。さらに、制度形成のない公共財供給ゲームでは、プレイの回数が増えるとともに平均貢献度は減少するが、制度形成のある公共財供給ゲームでは、プレイの回数が増えるとともに平均貢献度は増加している。これは、制度形成が社会厚生の最大化に寄与できることを示す。また、実験結果は、公平性が利得分配だけでなく制度形成のプロセスにおいても大きな役割をもつことを明らかにしている。

研究活動

2010年度

2009年度

2008年度

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