Economic Statistics - 経済統計部門

一橋大学大学院経済学研究科・経済学部

教員からのメッセージ
April 3, 2017

経済統計部門の基礎をなす統計学は、本来、それぞれの学問分野あるいは企業・官庁で、調査、実験、観測など、さまざまな方法で得られるデータに基づいて、数量的な分析をしたり理論を検証したりする際に必要不可欠な応用科学です。本部門の研究分野の1つである計量経済学は、統計学を駆使した学問の代表例です。

しかし、通常の応用科学がよりよい製品を研究開発したり、サービスを提供するという人類の幸福に直接的に寄与するような陽表的なイメージをもっているのに対して、統計学はそうではない。少なくとも、学生諸君にとっては、地味で目立たない、あまり魅力のない学問に映るかもしれません。この点、本部門のもう1つの研究分野である情報処理は、統計学とは異なって明るいイメージをもつ応用科学です。

一面では、統計学の上記の性格は確かに否定できないことです。しかし、科学の役割は、人類の幸福に直接的に寄与することだけではありません。統計学の重要な役割は、統計的方法を必要とする他の学問分野や企業・官庁に奉仕することです。統計学が地味で目立たない学問であるのは,奉仕対象が一般の人でないゆえの当然の帰結かもしれません。統計学の底流をなすものは、いわばボランティア精神です。

しかも、ボランティア精神を骨子とする統計学は、非常にロマンにみちた学問でもあります。その理由は、データを分析する際、現実にはデータとしては実現しなかった背後にある可能性に思いを馳せ、その全体像を仮説的に自由自在にイメージすることができるからです。それは、壮大な宇宙の構造を「確率モデル」という変幻自在な武器を使ってあれこれと思い巡らすという、ロマンにみちあふれた知的作業であります。

前提条件が崩れたり、構造が変わったりして、既存の理論が必ずしも成り立たないような不確実な時代においては、このような統計的なものの考え方、すなわち、データという真実の一部に基づいて帰納的な推論を行う方法はますます重要になるでしょう。実際、多くの銀行や証券会社、そして民間の研究機関でも、統計学の知識を身に付けた人材を必要としています。

このような統計学に興味をもち、さらに、計量経済学や情報処理を学部だけでなく大学院においても深く学びたい学生を、我々スタッフは大いに歓迎します。我々は、与えうる限りの教育を学生諸君に行うつもりです。学生諸君は、その若々しい頭脳で我々に反応して、互いにフィードバックすることにより、ともに高め合う知的作業をしようではありませんか。