拙著『競争の作法:いかに働き、投資するか』について、出版社である筑摩書房に対して出版契約の解消をお願いしてきましたが、本日、その申し出を取り下げました。同社への不信が解けたからではけっしてないのですが、読者の方々に対する執筆者の社会的な責任をあらためて感じ、自分自身の申し出があまりに私的であるとのそしりを免れないと判断したからです。

 拙著は、以下のように、全国紙や雑誌で書評していただきました。

  新刊新書 サミング・アップ 週刊東洋経済710日号
   堂目卓生氏「今こそ問う競争の意義」 読売新聞718日朝刊
   編集部 「
日本経済の実態を冷静に分析」 日本経済新聞81日朝刊
   森健氏「行き詰まりリーマン前から」 朝日新聞81日朝刊
   
“達”氏 毎日新聞815朝刊
   
猪木武徳氏「新書解題:競争の場限る知恵 別の活動で『善く生きる』」 読売新聞816日朝刊

 また、私のウェッブでもまとめていますように(ただし、6月9日公刊から8月10日まで)、ネット上においても、大竹文雄氏のブログに6月20日付で掲載された書評をはじめとして、数多くの書評をいただきました。中には、「文責を明らかにして、こうした表現がはたしてできるのか」と不快になるものもありましたが(ただ、ネット上の意見表明が清濁併せ持ったごった煮だとすれば、致し方がないことでもありますが)、数多くの励ましや、建設的なご批判をいただきました。さらには、日本経済新聞8月13日朝刊の『経済教室』で拙著の内容に基づいたエッセーを執筆する機会を得て、公刊の前後に数多くの方々からコメントをいただきました。
 
 読者の方々の間にこのようにして受け入れていただいた本は、著者の責任としても、最低限の流通を確保するべきであるとあらためて思いました。当初は、出版契約解消後に電子媒体による普及を考えたのですが、現在の出版事情を冷静に考えれば、私が芳しく思っていない版元であれ、筑摩書房の販売ネットワークにかなうはずがありません。また、書店で手にとらなければ、本を買うことができないという読者の方々もかなりの数にのぼると思います。

 以上、同社に対する自らの申し出を取り下げるにいたった経緯であります。読者の方々には、ほんとうにありがとうございます。今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。(2010年8月18日)
 

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