大規模データを活用したイノベーションプロセスの解析が現在の主な研究テーマです。大学あるいは研究機関で生み出された基礎研究が、特許あるいは論文などの著作物を媒介して企業の研究開発へと活用され、それがどのような経済的・社会的価値を生み出すイノベーションへと結実するか、複数のデータソースを組み合わせることでその動態を解析しています。特許、学術論文、財務データベースおよび、企業活動を包括的に記述したデータベースを相互に結合することで、定量的な解析を行っています。具体的なフィールドとしては、製薬・バイオ産業および再生医療分野に関連した解析を行ってきました。また、無形資産が果たす役割についても近年関心を持っています。
講義「経済学のための実践的データ分析」では、近年コンピューティングリソースの増大と解析手法の発展によって分析可能になった、マイクロデータを活用した経済事象の解明について、具体的なデータセットおよびPython、R などのオープンソース・ソフトウェアを活用することで、体系的な知識を会得することを目指しています。また併せて、ビッグデータとも呼称される、不定形データを解析するための手法も講義では実習を交え紹介しています。経済学、特に統計学や計量経済学の知識を、研究活動や企業での業務など、実際のユースケースでも活用出来るようにすることが、本講義のミッションです。