本データは、2025年3月31日現在のものである。
(1)近現代日本の資源管理(温泉資源を中心に)
近代以降の温泉地における源泉利用のあり方を分析することで、近代日本の「近代的土地所有権」制度下における資源利用の特質を解明するが目的です。地域社会で秩序づけられていた資源利用のあり方が、近代以降の「近代的土地所有権」の確立の中で、どのように国家の公共的な機能に組み込まれ、他方,地域の公共的関係の生成とどのような関わりを持ったのかが私の問題関心になります。
(2)食品産業史
生活に身近な産業である食品産業の歴史的展開について、主に、第一次大戦期から現代までの缶詰産業を対象に研究を行っています。不安定な原材料供給と多様化する消費動向との間で企業間での競争や企業経営がどのように行われているのか、原材料-生産-流通-消費の連関に着目し分析しています。
学部授業(「経済史入門」「経済史C」)では近世・近代(17~20世紀)における日本経済の変容過程について、産業・流通・貿易構造といったマクロ的視点だけでなく、身近なテーマや人々の営み(労働や生活の変化、私が研究対象としている温泉地や観光地における温泉観光業の動向、当時の人々の余暇の過ごし方など)に関するミクロ的な視点にも焦点をあてながら授業を行っています。
学生には、複雑化する現代社会の諸問題を解決するためにも、歴史研究を通して、日本や世界の現状を相対化する眼を養ってもらいたいと考えています。そのためにも、現状の日本経済や経済史について幅広い関心を持ってもらう一方、大量にあふれる情報や知識に流されない力(能力)を大学時代に身につけ卒業してほしいと思います。「経済史」という学問は、歴史的に物事を把握することで現在を相対化する視点を養うことができる学問です。学部ゼミでは、周りの情報に流されない洞察力を身につけてもらうために、日本経済史の知識や情報を伝えるだけでなく、自分の生活や住む地域との関わりを考えながら、地域経済のあり方や歴史に関心を持てるように、資料取集やフィールド調査の方法など自分で資料収集ができる力を養います。そして、自分が関心を持ったテーマについての実証論文(卒業論文)の執筆がゼミ活動の中心になります。