教員紹介

友部 謙一(ともべ けんいち)

主な研究テーマ

1) 体格変化と経済発展の関係:近代日本の農村と都市の比較史
2) 皇国地誌の数量経済史:近世後期と19世紀日本
3) 歴史のなかの感染症と市場:古代日本から近現代
4) 乳児死亡と生活水準:農村と都市の比較史

講義およびゼミナールの指導方針

経済史Cでは、日本社会の歴史のなかで市場marketの果たした役割を古代から近代に至るまで、最新の文献および史料の解読を通じて、できる限り浮かびあがらせるような分析の枠組みとその視角を提供することを心掛けています。ヒト・財・サービス・情報の移動を主軸とした市場の活用は、平時よりむしろ非常時や非日常態において傑出してきた可能性が高く、その際、病原菌やウイルスの移動との関係も重要になります。古来より市場志向型社会である日本社会の特徴を歴史的に明らかにしていきたいと考えています。経済史特殊問題では、宗門人別帳を主要な史料として展開してきた日本の歴史人口学の研究成果を振り返り、その特徴と課題を示し、最近の個別研究(出生力と乳児死亡を中心)の評価を行いたいと考えています。

学部のゼミナールでは、まず近世文書の基礎的な読解能力を身につけるべく独自に開発した方法を実践し、その習得をめざします。つぎに、共同研究プロジェクトとして、明治初年に各府県にその作成が命じられた皇国地誌を主軸に、その前の時代(江戸時代)に作成された同趣旨の史料(村明細帳など)およびその後の地誌・町村勢要覧との連続性と非連続性を明確にしたい。さらに、皇国地誌に含まれる情報を最大限活用するための分析枠組みを様々な学際的研究を参照にしながら整え、数量的分析を実施していきます。

E-Mail