教員紹介

若森 直樹(わかもり なおき)

主な研究テーマ

実証産業組織論の幅広いトピック(企業の価格戦略や参入・退出戦略)、及び、産業組織論の手法を医療機関の行動(医療経済学の領域)や金融機関の行動(金融経済学の領域)に応用した分野に興味を持ち研究を行っている。

2022年4月現在、(1)人口減少下における競争政策、(2)デジタル経済におけるマルチホーミングが企業の市場支配力に与える影響、(3)金融が企業の成長に与える影響、に力を入れて研究を進めている。(1)は、日本の多くの市区町村では人口減少に直面しており、そのような状況下で通常の合併審査を行っていて良いのかという政策的問いが端緒になっている研究で、実際に金融機関・小売業・医療機関の合併が地域の社会厚生(消費者余剰と生産者余剰)にどのような影響を与えるかを定量的に求めている。(2)は、各種デジタルプラットフォームでは、以前にもまして消費者のマルチホーミングが一般的となってきているが、消費者余剰は本当に上昇しているのか、企業の市場支配力はどのように変化しているのかを調査する研究である。(3)は企業金融のデータと中小企業のデータを繋げることで、融資などがどのように企業の成長に結びついているのか(いないのか)を定量的に精査する研究である。

講義およびゼミナールの指導方針

講義(学部・大学院とも)では現代的・標準的な産業組織論の理解を目指す。学部(産業経済学)では、独占市場(価格差別、自然独占のインセンティブ規制)、寡占市場(クールノー競争とベルトラン競争、ベルトランパラドックスとその解消方法)、製品差別化、参入と参入阻止、カルテルと共謀、企業合併、垂直的取引制限、多面性市場などのトピックを網羅的にカバーし、主に理論的な側面からアプローチを行う。大学院(上級企業経済学)では、理論的な側面は理解していることを前提に、主に実証分析の方法論やその応用を俯瞰する。特に、上級企業経済学Iでは、「構造推定(需要関数の推定、生産関数の推定、静学ゲーム、動学モデル、オークション)」を理解し、自身の研究に応用できるレベルでの習得を目指し、上級企業経済学IIでは、主に構造推定がどのような場面でどのように用いられているのか、そして、それらは誘導系の手法では答えられないようなリサーチクエスチョンであるかを吟味しながら、論文の輪読を行う。

学部ゼミでは卒業論文を、大学院ゼミでは修士論文・博士論文の執筆を目指す。学部ゼミでは、論文の執筆に必要な理論的・実証的知識が不足しているであろうことから、3年次は(理論)産業組織論と計量経済学の書籍の輪読を行いつつ、プログラミングの実習を行い、卒業論文執筆のための下準備を行う。またアウトプットの場として冬学期頃にインゼミを行う。4年次は、研究テーマとデータを自分で探すところから始め、独自性のある研究課題に取り組み、卒業論文の執筆を行う。大学院ゼミでは修士論文・博士論文の執筆を目標に、既存文献の発表や自身の研究の成果報告を中心に進める。

教員HP
https://sites.google.com/site/nwakamori/
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