教員紹介

山下 英俊(やました ひでとし)

主な研究テーマ

(1)マテリアル・フロー分析
(2)廃棄物・リサイクル政策
(3)再生可能エネルギー政策

「マテリアル・フローの政治経済学」アプローチによる廃棄物・リサイクル政策の分析を標榜し,研究・教育活動を進めている。具体的には,1)経済活動を物質的側面(Physical Economy)と貨幣的側面(Monetary Economy)に区分する。2)物質的側面における資源や廃棄物のフローやストックの定量評価に基づき,資源・環境問題の実態を把握する。3)貨幣的側面におけるマネーのフローやストックの評価に基づき,当該問題が発生するメカニズムを明らかにする。4)物質的側面を規定する貨幣的側面は,法制度や権利の配分など市場外の要因によって規定されており,市場外の要因を検討することで問題解決にむけた政策のあり方を論じる。以上4段階の分析を経ることで,対象とする資源・環境問題に対する処方箋を提示することを目標としている。物質的側面の分析としては,物質循環に関する指標の開発("Circulation indices")と,同指標を用いた国際資源循環の分析(「国際リサイクルとその指標」)がある。物質的側面と貨幣的側面の相互連関の分析としては,廃棄物政策(特に廃棄物税の効果)に関する分析(「なぜ三重県では産廃最終処分量が激減したのか?」,"A General Equilibrium Analysis of Waste Management Policy in Japan")と,国際資源循環のメカニズムと費用負担制度に関する分析(「国際リサイクルの制度設計に向けて」)がある。再生可能エネルギーに関しては,脱化石燃料・脱原発・省エネ推進・再生可能エネルギー推進によるエネルギー転換の取り組みが,地域の持続可能性にも資するものとなるべく,政策研究を進めている(『ドイツに学ぶ』以降の一連の成果)。

講義およびゼミナールの指導方針

学部講義(資源経済学)では,「マテリアル・フローの政治経済学」をテーマとして論じる。物質循環に着目することで,資源や環境に関わる社会的問題の構造を端的に把握することができる。その構造を生み出す社会経済的要因を分析して,問題の解決をめざすアプローチである。具体的には,様々な資源・製品の物質循環の定量的把握や特徴の分析を行う手法,それら物質循環を規定する社会・経済活動とその活動を制御する政策手法について紹介する。

大学院講義(環境・資源経済分析)では,主として大学院学生を対象としつつ,意欲的な学部学生にも門戸を開いた形で,環境・資源経済学の対象領域に関する分析手法を紹介する。環境・資源経済分析Aでは主としてフィールドワークに関する手法を対象とし,環境・資源経済分析Bでは主としてデータ分析に関する手法を対象とする。

学部ゼミでは,「再生」と「循環」をキーワードとし(再生資源や再生可能エネルギーの活用,資源循環と経済循環の統合など),資源・環境問題,農林水産業,地域の再生と活性化など,持続可能な社会の構築にかかわるテーマに取り組む。大学院ゼミでは,環境・資源経済学の対象分野を中心としつつ,個々人の関心に応じて論文指導を行う。

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